平成24年度 第1回勉強会「直接法の授業を体験してみませんか! 「直接法の授業を体験してみませんか! ―学習者の気持ちを知るために ―」

第1回勉強会
「直接法の授業を体験してみませんか!
―学習者の気持ちを知るために―」

日時:2012年7月27日(金)18:30~20:30
講師:カイ・スェイ・ニュンさん、サン・ニャイン・トゥーさん
会場:エルプラザ(札幌市北区北8条西3丁目)4階大研修室
参加者数:27名(会員23名、非会員4名)

今回はミャンマーからいらした留学生のカイさんと旦那さまのサンさんのお二人を講師に迎え、ミャンマー語の挨拶と「あれ・それ・これは~です」という表現を勉強しました。
媒介語を使わずに日本語を勉強している学生の気持ちを皆さんに体感していただくためにカイさんとサンさんにはミャンマー語以外は使わないようにお願いしたのですが、お二人とも不慣れな中とても頑張ってくださいました。媒介語を使わないので指示や文型の意味を理解するのが難しいのではないかと心配していましたが、皆さんの反応がたいへんよく、スムーズに進めることができました。

後半はグループに分かれ、直接法授業を受けた感想、また普段の日本語授業に関する気づきなどを話し合っていただきました。直接法のメリット・デメリット、学生になってみての新たな発見など色々な意見がありましたが、「新しい語彙はしつこいぐらい何度も繰り返さないと覚えられない」という意見が多数出たのが印象的でした。今後もネットワーク勉強会では知識を深める講義形式の会に加え、このように体験型の勉強会も随時行っていく予定です。勉強会の内容に関するリクエストがございましたら、是非メーリングリスト、勉強会のアンケート等でお知らせください!
(研修事業担当 里村祥子)

【2012年度 第1回勉強会 アンケート集計結果】
回収:15枚
(ネットワーク会員9、非会員6)
日本語教育歴:未経験8名、3年未満4名、3~5年3名

所属機関:北海道大学大学院(2)、IAY(2)、JLI(2)、J.WORKS(1)、そら(
1)、札幌こども日本語クラブ(1)、ビジネスアカデミー(1)、その他

年齢:20~29(3), 30~39(5), 40~49(2), 50~59(3), 60(2)

【1】.今回の研修会はいかがでしたか。(内容、場所、日時、時間の長さなど)
・学習者の立場で「こう工夫するといいな」という点をグループで話し合うことができた
(同様多数)
・授業の時間がもう少し長くても良いかなと思いました。
→全体時間については適切というご意見を多くいただきましたが、授業時間とディスカッションの配分については、今後検討したいと思います。
・言語は内緒でもいいので、どんな表現を勉強するのかは事前にわかっていてもいいのでは。
・グループ討議はグループ内に進行役を置いた方がよい。グループを講師が回る必要もなかったのでは。

【2】 今後どのような研修会をご希望になりますか。
・発音の指導、授業見学。
・今回みたいに参加型だと楽しめて飽きないです。
・学習者とのやりとり(訂正)などどうするかというテーマでやってほしい。
・日本語のゆれをどこまで教えたらいいのか、考えてみたいです。
・レアリアの使い方。
・外国人言語指導者による授業。
・シラバス(文型、場面、機能etc…)について、can-do
・初級の文型導入用絵カードを使った授業例。
・実際に学習者に「授業で困っているところ」「こうしてほしい」等のことを話してもらう。
・外国語習得はレベルに応じた適切な教授法があるので、それぞれに応じた教授法を学びたい。

【3】その他、研修会・勉強会・ワークショップについてご意見・ご希望
をお聞かせください。

・中級・上級の学習者を対象
にした授業で使える教材や教え方などや音声指導について知りたい。
・参加者同士で情報交換ができるとうれしいです。
・とても楽しく勉強させていただけるので、毎月でも勉強会があるとうれしいです。
(同様3件)
→秋からは、勉強会がほぼ毎月開催されますので、ご期待ください!

【感想文】
私は現在、民間の日本語学校で大学進学を目指す外国人や短期滞在者に日本語を教えております。今回は直接法で日本語を教わっている学習者の頭の中は、授業中一体どのようになっているのか、どのような不安やストレスに直面しているのか、という疑問を少しでも解決するために勉強会に参加させて頂きました。
自分が学習者の立場になって「ミャンマー語」の授業を受けてみてわかったことは、直接法での学習者の不安な気持ちというのが、想像以上だということです。全く理解できない言葉だけで授業が進んで行き、頭の中が「?」でいっぱいになりました。時間が経つにつれて自分なりにルールや言葉の意味を見出すことができましたが、果たしてそれが正しいのかどうかもわからぬまま確認することもできず、少しパニックに陥ってしまいました。このような学習者の不安を軽減させるためには、教師が学習者の理解を都度確認することや笑顔で授業をすること、褒めることなどが重要になってくると思いました。
また、文型のリピート練習をした際は一度、二度やったぐらいでは足りないと感じ、何度でも口に出して言いたいという気持ちがありました。これは、私にとっては重要な発見でした。普段の授業で単純なリピート練習はつまらないものであり、何度もやると学習者は飽きてしまうという思い込みが自分にはあったからです。発音の確認や文型定着のためにこのような地道な練習を重ねることが重要だと気づかされました。
体験授業後のフィードバックで、グループに分かれて話し合えたのも大変いい機会でした。日本語教師をしていると授業の準備や授業の最中などで自分のやり方、考え方に「これでいいのだろうか」と疑問を抱き、孤独を感じることが多く、もっと多くの日本語教師と情報や意見を交わしたいと常々思っていたからです。参加された方々が自分とは違った視点で授業を捉えていて興味深く、大変勉強になりました。
今回の勉強会で、普段知り得ない学習者の気持ちを少しでも感じ取ることができて、非常に貴重な体験をさせてもらえたと思っております。今後の授業や学習者との接し方にすぐに役立てられる内容で、中身の濃い時間であったと思います。今後も積極的に勉強会に参加し、自分の凝り固まった考えややり方を再考して少しでも教師として成長していければと思っております。ネットワークの皆様、素晴らしい機会を与えてくださりありがとうございました。
(佐々木比呂子)

以上

SNSでこの情報をシェアする
  • URLをコピーしました!
目次