秋の研修会
講座1「中~上級の読解授業の方法 -『自己理解の説明』をする-」
講座2「『わたしのにほんご』の作成目的と使い方」
日時:2012年9月15日(土)13:30~15:30
講師:ボイクマン総子先生(東京大学教養部)
会場:かでる2・7(札幌市中央区北2条西7丁目)1030室
参加者数:52名(会員45名、非会員7名)
今回は東京大学教養学部のボイクマン先生をお迎えし、実践的なお話を色々と伺いました。読解において学生の文章理解の程度を測ることを目的とした活動や、先生が著者の一人でいらっしゃる『わたしのにほんご』の教室での具体的な使用法など、実際の授業への示唆に富んだ内容でした。全体で2時間という短い時間ではありましたが、大変充実した研修会になりました。 (事業担当 里村祥子)
【感想文】
ボイクマン先生の講座は実践的で、楽しみながら様々なことを学べる貴重な機会となりました。
お話を聞いている中で多くの驚きや気づきがありました。その都度「自分のクラスではどうだろう?」と振返り、席の近い方とそれぞれの環境に反映させながら話したりしました。講座で体験した実践を今度は自分が学生に試したくなる、そうした楽しみをボイクマン先生の講座では頂けたと思います。
第一部、第二部どちらの講座にも共通することは、テキストを利用して「自分の考えを述べる」ということでした。例えば第一部の読解では、テキストの一文を「自分の言葉で説明する」という課題がありました。第二部の『わたしのにほんご』教材では、例文のストーリーを「再生する(暗唱するのではなく、どんな内容だったか再話する)」・「例文を元に自分自身のストーリーを述べる」という課題がありました。実際に読解と教材の実践を体験しましたが、テキストを「自分の言葉で考えて説明しなければいけない」と思うと短い文にも関わらず緊張したり、言い換える為の言葉を沢山考えて頭が疲れたりしました。「自分の考えを述べる」というのが、いかに能動的・創造的な作業かということを実体験で学ぶことが出来ました。
ボイクマン先生は「テキストの中の”わたし”は、学生にとって“私(自分)”じゃないかもしれない」とお話されていました。もしテキストの中の“わたし”を自分である“私”と置き換えられたなら、テキストで書かれた情報はただの文字情報ではなく、より身近で立体的な情報になってくるだろうと感じました。テキストを機械的に覚えて答えるだけではなく様々な角度でテキストを見て、自分の言葉で表現するということがテキストの理解となり、すぐに使える“応用”へと繋がっていく。これが出来れば学生はより創造的に“独自の答え”を生み出せるかもしれないし、教師にとっては学生から“予想外の面白い答え”を引き出せる可能性があるのだと知りました。これはとても魅力的で刺激的なお話でした。何よりこの関係を実現するためには「何を発言しても大丈夫=チャレンジできる」教室環境が必要だということも改めて感じました。
2時間があっという間でとても短く感じました。「想像力」を喚起させられる充実した講座でした。この講座で学んだことを今後も授業に生かし、学生のサポートをしていきたいと思っています。ボイクマン先生、ネットワークの皆さま、どうもありがとうございました。 (大石都希子)
以上